約 1,206,891 件
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/1065.html
ねぎぼうの140文字SS【30】 1.ラブせつで「待つ」/ねぎぼう 本当は一緒にダンスをしたいって、わかってるんだ。 ダンスの本をずっと読んでることも知ってる。 一緒にいるんだもん。 そう、今のせつなってあのときのブッキーみたいだもん。 だから踊りたい気持ちも一番わかってくれるんだよね。 だから、せつなをお願いね。 ちゃあんと新しい横断幕も作ってるから。 2.ラブせつで「赤」/ねぎぼう プロデビューしたといってもまだまだ駆け出し。 オーディションに受からず落ち込むこともあるんだ。 そんなときはね…… 「このブレスレット、もしかして?」 「はい、ミユキさん! これを着けると、どんなに辛いことがあっても精一杯頑張る気持ちになれるんです」 「せつなちゃんも頑張っているのよね」 ※ラブはプロのダンサーでトリニティの妹分的ポジション。 ※二人はお母さんからのブレスレットを交換したんですね。 3.ラブせつで『独り占め』/ねぎぼう 帰り支度をしているせつなの部屋の前に立ち、深呼吸したラブがノックする。 「どしたの?」 「今日はホワイトデーなんだ」 贈り物に照れた顔を添えて。 「開けてみて」 白いチョコに描かれていたのは…… 「今のせつなだよ」 「ラブ……ありがとう」 判ってる、この笑顔は皆のもの。 でも今だけは独り占め。 4.ラブせつで【 抱きすくめて 】/ねぎぼう 「じゃあ、またね」 お祭りも終わり、仲間たちは元の場所に帰っていく。 「みきたん、ブッキー、また明日ね」 気づけばせつなと二人きり。 ラブは繋いだ手に力を込めた。 「どしたの?」 その手をくいっと引き寄せると、そのまま抱きすくめていた。 「せつな……」 帰らないでと言いたいのを飲み込んで。 5.ラブせつで『世界で一つだけの願い事』/ねぎぼう 誰もがせつなの夢が叶うことを願ってる。 あたしもすごくいいと思ってる。 なのに、もうひとりのあたしの心だけが泣き叫んでる。 “せつなとずっと一緒にいたいよ”って。 何とも勝手な、世界で一つだけの願い事。 でもね、これもあたしの願いには変わりないもん。 だから、決めたんだ! 待っててせつな! 6.ラブせつで『大人しく降参して』/ねぎぼう 「大人しく降参して!」 いくら言ってもニンジンを残すラブにせつなは痺れを切らす。 「降参するよ」 「え?」 「お願い……食べさせて」 ラブは軽く口をあけた。 「もう、ラブったら」 せつなはニンジンを口にすると……そのまま飲み込む。 「せつなぁ」 「だーめ、自分で食べなさい(ご褒美はその後よ)」 7.せつなとラブで『ありふれた日常の中の幸せ』/ねぎぼう 緑のカーテンに咲くトケイソウをパシャリ! せつなはリンクルンで送信した。 『今年も咲いているわ』 ラビリンスの大地が花を思い出すのに 何年も要したことを知るだけに、 花がもはや特別なイベントではなくて ありふれた日常の中の幸せになったことが ラブには嬉しい。 返信に今花壇に咲く紫陽花を送る。
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/1018.html
140文字SS:フレッシュプリキュア!【24】 1.[競作2015]ラブ(&せつな)「大切だったはずなのに」/ねぎぼう 家族写真の少女をずっと見ている。 占い館で出逢って、 友達になって、 喧嘩して、 仲間になって、 家族になって……旅立っていった。 褪せぬ写真の色鮮やかさとは対照的に、 その記憶が甘く優しくなっていく。 心の叫び。 拳の痛み。 失うことの辛さ。 笑って送り出す心の軋みさえも。 大切だったはずなのに。 2.[競作2015]せつな&美希「大切な二人だけの秘密」/一六◆6/pMjwqUTk 魚屋さんの前では、必ず大回りする。 たこ焼き屋さんも、さりげなく避けて通る。 「そんなに気を使わなくていいのに」 「人を置き去りにして走り去った人が、よく言うわ」 もしかしてあの時、せつなもアタシに置いていかれると思って慌ててたの? 「もうしないわよ」 一人には、ね。 赤い瞳に、そっと誓った。 3.[競作2015]「大切な人はここにいる」/ねぎぼう ラブが沈黙を破るように口を開く。 「いまでもせつなの夢を見るんだよね……」 「せつなちゃんと会えなくて……やっぱり寂しい?」 祈里のあまりにも直球な問いにラブも苦笑する。 「ブッキー、せつなはいつでも『ここ』にいるんだよ」 ラブは自分の胸をトントンと示す。 「ラブちゃんならそう言うと思った」 4.ラブせつで『お気に召すまま』/ねぎぼう 「『世界は舞台、人は役者(お気に召すまま)』か……」 シェークスピアの戯曲を手に、サウラーはその一節を呟く。 「なら、やはりこの世界はメビウス様の戯曲たるべし、ということだね」 街に向かうせつなの背中を見送る。 ペンダントの煌めきがこの世はダレかの戯曲でもない、と言うようだった。 5.ラブせつで「桜」/ねぎぼう 再建なるまでは会わない、そう決めていた。 でも、少し遠くからなら…… ――白詰草の丘から眺める街はあの日のまま。 (今日も笑顔で溢れているのかしら) ある一面が春の風に吹かれてふわふわと揺れている。 「ラブの色……?」 嬉しさと後ろめたさを抱えて、その光景に背を向けた。 今度逢うときは…… 6.[競作2015]「大切なたからもの」/ねぎぼう 昼下がり、シフォンがせつなの膝の上で眠そうにしている。 「タルト、クローバーボックス使ってもいい?」 「……うん、ええで」 「ウチも聴きとうおすえ」 ラブはハンドルを握り、ゆっくりと回し始めた。 スイーツ王国の秘宝から奏でられるのは今はただ優しい子守歌。 安らかな寝顔は大切なたからもの。 7.ラブせつで「反省」/ねぎぼう (ラブはすぐ感情に流されるんだから) (せつなは融通がきかない石頭だよ) 背を向けてしまった二人。 (でも) 互いを思いうかべる。 (いつも人のことを思っているのだわ) (いつも真面目に物事を考えているんだよね) それなのに……言い過ぎてしまった。 そう思った二人はベランダの窓に手をかけた。 8.ラブせつで【 授業が終わったあとの教室 】/ねぎぼう 補習を終えたラブが教室に荷物を取りに戻ると、 授業が終わったあとの教室に残っていたのはせつな一人。 「待っていてくれたの?」 こくりと頷く。 教室に差し込む夕日が二人の頬を照らす。 ラブはそんなせつなをみると何だかドキリとする。 「いい……かな?」 「教室よ?」 「大丈夫だよ、誰も来ないし」 9.[競作2015]ラブ&せつな「舐めあいっこ」/こゆき 揺れるツインテ-ルの合間から白い何かが見え隠れする。 ピンクの舌がその上でチロチロと蠢く。 「ちょっとラブ、がっつきすぎ!」 「だって、せつなの……美味しいんだもの」 「やだっ、もうダメ……」 って、なんでタルトが顔を赤くしてるの? このアイスは私のだからあげないわよ。 ラブももう十分でしょ? 10.[競作2015]ラブ&せつな「大切な人と一緒に」/ねぎぼう 「幸せの素?」 イースの視線の先には四つ葉のクローバー。 「すごいよせつな。幸せを呼ぶ四つ葉のクローバーはね、 心から幸せを望んでいる人じゃないと見つけられないんだよ!」 ―― あたしもね、本当はずっとさがしてたんだ。 貴女と一緒だから見つけられたんだよ。 これからも、ね。 ありがとう、せつな! ※競作2-33に続くSSです。
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/1013.html
ねぎぼうの140文字SS【27】 1.[競作2015]咲&満「大切なお客さまへ」/ねぎぼう 「パン好きはイイ人ナリ!」 咲が無邪気に言った。 「満も!」 こんな私の目の前で輝く、向日葵の花はちょっと眩しすぎる。 (アイツは……) 「そう言えば、チョココロネたくさん買ってくれた ガタイのいいお客さん、来ないなあ…… 今でもどこかで食べていて欲しいなあ」 咲の光はきっとアイツにも届く。 2.[競作2015]「大切な命の重さ」/ねぎぼう 「怪人にも命がある」 なぎさが久しぶりに観たバトルレンジャーにあった台詞。 (あたしたちはピーサードを「浄化した」のだと思っていた。 でも、ピーサードにも心があった。 それがたとえ善くない心だとしても、大切な命を奪っていたのだ。 その事実には変わりはない) ほのかのあの涙の意味を知った。 3.[競作2015]ラブ&せつなで「大切な友達で、家族!」/ねぎぼう 「精一杯……頑張るわ!」 せつなの涙が嬉し涙になった日。 せつなとの時間、 せつなの声、 せつなの仕草、 せつなの笑顔…… 今はぜーんぶ愛おしい。 もうこのままずっと見つめていいかな? あたしが何兎も追いかける欲張りさんになったのは せつなに出会ったからなんだよ。 ダンスもプリキュアもせつなも! 4.ラブせつで『出来るなら苦労はしない』/ねぎぼう 「未だにソレでご思案かい?」 「お前には関係ないことだ」 「君は大きな力を得たそうだね。 もうソレを利用する必要は無いし、任務に差し支えるのなら捨ててしまうといい」 (出来るなら苦労はしない) 一度は捨てようとしたペンダント。 (私は笑顔が嫌い。アイツの笑顔も……あのまま手放していれば) 5.マナりつで【マッサージ / 秘密だよ】/ねぎぼう 「六花は落ち着きがあって優しいよね」 マナが寄り添い私の肩をもむ。 「おだてても何も出ないわよ」 「へへへ」 そのまま私をベッドに寝かせるとマッサージを始めた。 最近肩凝りが酷かったので体にしみる。 「ほわぁ~」 力の抜けた私の耳元で囁く。 「このあとは……秘密だよ」 その言葉にきゅんとした。 6.[競作2015]「大切なトモダチ」/ねぎぼう 「後からすぐに行く。皆先に行ってて」 二人を見送るとラブは針と糸を手にする。 「すぐに治してあげるからね」 慣れない手つきでウサビョンの背中を縫っていた。 「痛っ!」 針を指にも何度も刺して縫い上げる。 「もう痛くないからね」 (貴女が痛いのでしょ?) 友達思いの手にせつなは丁寧に絆創膏を貼る。 7.[競作2015]ラブ(&せつな)「大切だったはずなのに」/ねぎぼう 家族写真の少女をずっと見ている。 占い館で出逢って、 友達になって、 喧嘩して、 仲間になって、 家族になって……旅立っていった。 褪せぬ写真の色鮮やかさとは対照的に、 その記憶が甘く優しくなっていく。 心の叫び。 拳の痛み。 失うことの辛さ。 笑って送り出す心の軋みさえも。 8.[競作2015]ラブ&いつき「大切な友達だからね」/ねぎぼう 「うさぴょん、その耳怪我してたの?きれいに治してもらったんだね」 「……道着の繕いで慣れているんだ」 「ウサピョンの怪我は……まだちょっと痛そうだよね」 「ウサピョンもボクが治そうか?」 「でもやっぱり自分でちゃんと治してあげたいんだ…… 裁縫教えて欲しいんだけど……いい?」 「もちろん!」 ※プリキュア&プリキュア【5】-1の続きをイメージした三次140字SSです。 9.[競作2015]「大切な人はここにいる」/ねぎぼう ラブが沈黙を破るように口を開く。 「いまでもせつなの夢を見るんだよね……」 「せつなちゃんと会えなくて……やっぱり寂しい?」 祈里のあまりにも直球な問いにラブも苦笑する。 「ブッキー、せつなはいつでも『ここ』にいるんだよ」 ラブは自分の胸をトントンと示す。 「ラブちゃんならそう言うと思った」 10.[競作2015]「大切な、正夢!」/ねぎぼう 「全日本シニアダンスコンテスト、優勝はクローバー!」 あたしたちがついに日本一のダンサーに! 今や美魔女モデルの美希たんと すっかりお父さん似になっちゃったブッキー。 ラビリンスの笑顔のために今でも陰で頑張るせつなもこんな近くで、 お腹のお肉がちょっと恥ずかしいな。 これはね、あたしの正夢!
https://w.atwiki.jp/bjkurobutasaba/pages/703.html
出戻り:ウェル きたいのるーきー 戦争してないイメージ 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/957.html
ねぎぼうの140文字SS【R18】 1.ラブせつで『いじわるしないで』/ねぎぼう せつなと唇を重ね舌をからめていくラブ。 ボタンを一つづつ外していき、タンクトップをたくし上げると 二つのピンクの胸かざりがあらわになった。 「っ……」 ラブの指が胸の頂を軽やかに舞い、せつなを甘く責めた。 「せつなのココ、固くなってるね」 顔が真っ赤になる。 「ラブ、いじわるしないで……」 2.ラブせつで【熱いカラダを… / 可愛い声が聴きたい】/ねぎぼう 媚薬入りウィスキーボンボンの効果覿面。 途端に顔が火照り、立っていられなくなるラブ。 どうにかして!ジンジンするこの熱いカラダを……。 固く尖った胸の頂きを弄ぶ。 「ああん、せつなぁ」 「もっとラブの可愛い声が聴きたいわ。ここはどう?」 最も熱い部分を探る。 「ひゃぅん」 蜜で溺れそうになる指。 3.ラブせつで【細い体を / 綺麗にしなきゃね】/ねぎぼう ラブの指がせつなの熱い部分に出入りするたびに その細い体をくねらせる。 「せつなのここ、美味しいかな?」 「だめ、ラブ……その……汚いから……」 「ううん。せつなのだもん、汚くなんかないよ。 でも、もっと綺麗にしなきゃね」 ラブは舌でせつなの中の小さな真珠を磨きあげる。 「うぅっ、ぁん……」 4.ラブせつで【熱いカラダを… / こっちを見ないで】/ねぎぼう くちゅ、くちゅっ、ぴちゃっ…… 「うくっ」 自らの指で蜜壺をかき回す。 「ラブぅ……」 (どうしたら鎮められるの?この熱いカラダを……) シャワーを冷水にする。 戒めの矢が降り注ぐ。 「せつな!何してるの!?」 最近様子がおかしいと思ったら、そんなことを? 「お願い、ラブ。こっちを見ないで!」 5.ラブせつで【みだらな声で / 手錠をかけて】/ねぎぼう 「ぁん……ああ……ん」 くちゅ、くちゅ、つぷっ…… ピッグテールが揺れる。 「もっとみだらな声で自分の無力を嘆くがいい」 たとえリンクルンに手が出せずとも、 手錠をかけておけば変身も出来ぬ。 なすすべもないお前の不幸が溜まっていくぞ。 「イース、それで貴女は……幸せ?」 何故そんな目で私を見る?
https://w.atwiki.jp/zikopedia/pages/59.html
せつなすな
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/277.html
第20話『帰ってきたせっちゃん――ある日のせっちゃん。せつなが帰る日(後編)――』 “ひゅん” 突然、せつなの足元から旋風が巻き起こる。それが広がるかのように強い風が吹き付け、木々の梢を大きく揺らす。 たっぷりの水分を含んだ、青葉の匂いを運ぶ温かい風。 陽の短くなった秋の夕方には、決してあり得ないはずの――それは、真夏の風だった。 せつなを中心にして、空間があるはずの無い姿へと変転していく。 儚げな夕日は、突き刺さるような暑い日差しに変化する。 木々はそれまでの紅葉が嘘であったかのように、深緑の命の輝きを取り戻す。 (何が……起こっているの?) 背後から人の気配を感じて、せつなはとっさに身構える。そして気が付く。 それは、近寄ってくる人物を敵として認識していること。相手から、殺気を、戦意を感じ取っていること。 この世界に住むようになって、久しく忘れていた感覚だった。 一人の少女が近づいてくる。 薄いグレーの半袖シャツに、黒のハーフパンツ。年頃の女の子にしては珍しいシンプルな服装。 何も持たない両手は、固く拳を握りしめる。瞳に闘志をたたえ、ミディアムレイヤーの黒髪を風に揺らしながら―― 『帰ってきたせっちゃん――ある日のせっちゃん。せつなが帰る日(後編)――』 (これは――かつての私? 夢でも見ているの? 違う! 夢は匂いまで感じ取ったりしないわ) 黒髪の少女はせつなに気が付くこともなく、歩を緩めずに一本道を真っ直ぐに進んでいく。 このままでは衝突する! せつなは横に移動して道を譲ったものの、肩と肩とがぶつかりあってしまう。 ぶつかりあってしまう――はずだった。 少女の肩はせつなの肩をすり抜け、何事もなかったかのようにそのまま歩き続けた。 (幻覚……じゃない、気配や殺気まで感じ取っているのだから。時間、いや、空間がズレているの?) だとしたら、自分だけ相手を知覚できるはずもない。原因は判らないが、ラビリンスの科学力すら超える奇跡の力が働いているらしかった。 とにかく少女の後を追う。 (私の記憶の通りなら、後、二百メートルほどで……) 向かい側から、同じくらいの背格好の女の子が駆けて来る。 ピンクにハート柄のタンクトップ。黒のショートパンツ。そして、薄茶色の髪の大きなツインテール。 瞳に強い決意と、深い愛をたたえた少女。 二人が対峙したその瞬間、空が彼女たちの心を映したかのように雲を纏う。風は、見守るようにピタリとその動きを止めた。 「お前を探しに行くところだった。わざわざ現れるとは、手間が省けたよ」 「気が合うね。あたしもせつなに会いに行こうとしてたとこだよ」 「今日こそ! お前と決着を付ける」 「うん、そうだね。こんなこと、もうやめにしよう。ううん、必ず止めさせてみせる!」 “スイッチ・オーバー” “チェインジ・プリキュア・ビートアップ” 「お前が友達だと思っていたせつなとは、この私。お前の変身アイテムを奪うために近づいたのだ。そうとも知らず気を許すとはな」 「今でも友達だと思っているよ。その友達をラビリンスから抜け出させるために来たの。あたしの全てを賭けて!」 「お前の――そういうところが頭にくるんだよ!」 何もかも記憶の通り。イースとキュアピーチに変身した少女たちは、激しい戦いを繰り広げる。 静まった風の代わりに、イースとピーチの拳と蹴りが大気を切り裂く。 更に近づいてくる二人と一匹の足音。美希、祈里、タルト、シフォンだった。彼女たちもせつなには気が付かない様子だ。 (干渉のできない過去の追体験というわけね。私に何を見せようというの? 全て知ってることなのに) 「アタシたちも変身よ!」 「うんっ」 「待って! ここはあたしに任せて。お願い、二人は手を出さないで」 イースはピーチ以外の者には一瞥もくれない。どうでもいいからだ、彼女たちが参戦しようとしまいと。 勝利のために、戦っているのではないのだから……。 雨足が強くなる。風の吹かない静かな森の中、小さな水滴だけが自然の存在を主張するかのように。 二人の悲しみを、共に嘆いているかのように―― イースとピーチの戦いは更に激しさを増す。 見ているだけで、せつなにも二人の気持ちが伝わってきて、苦しみに胸が張り裂けそうになる。 (二人の気持ち? イースの気持ち? イースはかつての私のはず、他人として何かを感じているというの?) 「こんなはずじゃ……。こんなはずじゃなかった!」 “国民番号ES4039781イース様。あなたの寿命は今日限りです。 お疲れ様でした” 間近に迫る死を前に、嘆きと悲しみ、そして悔しさを拳に込めて振るうイース。 その姿は、まるでピーチに泣きついている子供のようでもあった。 実際に泣いているのはピーチだった。イースの苦しみを感じ取り、自分の悲しみに変えて泣いていた。 そんなピーチの悲しみを感じ取り、美希と祈里も泣いていた。 (そうだったの……知らなかった。みんな泣いていたのね) 笑顔と幸せが輪になって広がっていくように、悲しみと不幸もまた輪となって広がっていく。 (だから――私はいつも周りを不幸にしてしまう) 「お前といると、私の中の何かがおかしくなっていく。お前といると、私が私でなくなっていく!」 「せつなっ!」 「初めて会ったあの日、幸せが訪れるなどとデタラメな占いを真に受けては喜び、その後も些細なことで幸せを手に入れたと言ってははしゃぎ、 罠にかけようとしているのに微塵も疑うそぶりも見せず、いつもいつもバカみたいに笑ってる。 そんなお前が……お前が――! うらやましいと思った!」 “魂の叫び” 死を前にして自分の気持ちと向かい合う。これほど純粋な想いが他にあるだろうか? うらやましい―― その言葉には一切の希望がなく、祈る余地もなく、ただ、届かぬものに対する憧れだけがあった。 互いの想いの全てを込めた、イースとピーチの渾身の一撃が空中で交差する。 眩い閃光の後、力を使い切った両者は地表へと落下する。 「うらやましいと……思ったんだ」 「そっか、よかった。やっぱりイースじゃない、せつなだったんだね」 穏やかな表情、素直な気持ち。やり残したことを終えたイースの、本当の素顔がそこにあった。 「変ね。あれだけ激しく戦ったのに、心が清清しい」 「それはね、ラブの心が伝わったからよ。ラブはね、ラビリンスからせつなを取り戻そうとして、心を鬼にして全力で戦ったの」 「心を、鬼にして……」 「あたしも、悩んでた気持ちがすっきりしたよ。せつなの心が伝わったから」 「ほら、立てる?」 「フン、私の心など……。あっ……あれは――幸せの素?」 「すごいよ! せつな。幸せを運ぶ四つ葉のクローバーはね、心から幸せを望んでいる人じゃないと見つけられないんだよ」 「心から幸せを?」 「今からでも、きっとやり直せるよ。さっ、幸せをつかみとって。せつなが見つけた幸せでしょ? ほらっ!」 それは、イースの境遇を知らないからこそ言えた言葉。 やり直せない――もう、間に合わない。だからこそ、会いに来たのだから……。 それでも、イースは手を伸ばそうとした。 そう――届かないなんて、叶わないなんて、許されないなんて。 そんなこと、夢を見ない理由にはならない。見れない理由になんてならないんだ! “時間です” 「せつな……どうしたの?」 「えっ?」 「なっ、何?」 「どうしたんや、急に?」 後、数センチ。もう少しで四つ葉のクローバーに手が届こうというその時、イースの身体が崩れ落ちる。 苦しみも、痛みも感じることなく。まるで、糸の切れた人形のように―― そこで時間が止まる。 ピーチも、美希も、祈里も、タルトやシフォンまでも。 森の木々や風や雨までも、その全てが動きを止める。 せつなは駆け寄る。 うつ伏せに倒れたイースの身体を、触れないと知りつつも抱き起こそうと手を伸ばす。 (えっ? どうして……) 先ほどはすり抜けた彼女の身体に、何故か触れることができた。 まだ、ぬくもりが残るイースの身体を抱き上げる。 (くっ……。っぅ――!!) 泥に汚れた銀色の髪をかき分け、せつなはイースの顔を覗き込む。 ゾクリと感じる恐怖と嫌悪。雷が落ちたかのような衝撃に襲われ、せつなは声にならない悲鳴を上げる。 安らかとは言い難い死に顔は、まさに彼女の人生そのものだった。 恐怖を感じる暇もなく、後悔する時間も与えられず、ただ一欠けらの幸せも手にすることなく。 何の感情も浮かべずに、瞳孔の開いた瞳をいっぱいに広げて―― ポタリ、ポタリ―― 雨は止んでいるはずなのに、イースの顔が濡れていく。 次々にこぼれ落ちる雫は、泥に汚れた少女の顔を少しづつ綺麗に洗い流していく。 それが自分の涙なのだと気が付くまで、せつなはしばらくの時間を必要とした。 (どうして、泣いているの? 知ってること、過去にあったことなのに) ただ、無性に悲しかった。せめて、幸せの素をつかむ時間を与えてあげたかった。 一度でいいから、笑顔になれる時間を与えてあげたかった。 幸せの喜びを、教えてあげたかった……。 生きる資格なんてないと思った。まして、プリキュアになるなんて―― 自分は、幸せになってはいけないような気がした。 それなのに、今、確かにイースを救いたいと思った。幸せになってほしいと願った。 (そうだったのね……。やっとわかったわ、自分は自分では見えないものね) 「許せない過去の私を、イースを、救うべき他人として見せるためにここに呼んだんでしょ? アカルン!」 その言葉に反応するかのように、景色が再び変転する。 腕の中からイースの重さがなくなり、やがて実体を失った。 ピーチも、美希も、祈里も、タルトやシフォンも。みんな透き通るようにして姿を消していく。 薄暗い雨空は、日の沈む前の紅い夕焼けに変わる。 深緑の森の木々は、赤と黄色の、美しい紅葉へと戻っていく。 そして、せつなの前に姿を現す懐かしい姿。プリキュアの妖精。幸せの赤いカギ、アカルン。 リンクルンを返却し、スウィーツ王国に戻ったはずの、東せつなのパートナーだった。 「久しぶりね。どうしてあなたがここに?」 「キ――」 「そう、そうだったわね。私とアカルンは繋がっている。あなたの力で生きていられるのだから」 「キ――」 「ええ、もうわかったわ。やっと、全部わかったの。あなたのおかげよ」 罪を感じること。反省し、後悔するのは大切なこと。生き方を改めて償うのは必要なこと。 だけど、自分を傷つけて、その幸せを認めないのは間違ったことなんだ。 自分を傷つけて罪の意識を和らげたって、そんなんじゃ誰も救われない。 今、自分がイースの不幸を悲しく思ったように。 東せつなを愛してくれた人たちだって、その不幸を悲しまないはずがないのだから。 「ラブのように自分から笑えなきゃ、誰も幸せにはできないのよね」 もう一つ、わかったことがある。 “そっか、よかった。やっぱりイースじゃない、せつなだったんだね” ピーチの言葉を思い出す。ピーチは、ラブは、最後までイースをせつなと呼び続けた。 東せつななんて、この世界に潜入するために自分で付けた名前。だから、そんな子は始めからいなかったんだって思ってた。 「せつなは居たのよね、ラブの中に。私を一番最初に愛してくれた人の心の中に」 そして、あゆみと圭太郎。美希や祈里。クラスのみんなや商店街の人たち。 せつなを知り、その名を親しみを込めて呼んでくれる全ての人たちの中に。 愛を込めて付けられた名前じゃなくても、愛された名前となり、愛される人として居場所を得たんだって。 「キ――」 「帰る時間なのね。ありがとう、アカルン。私はもう大丈夫よ」 アカルンは一瞬微笑むと、空高く上昇して消え去った。せつなはその姿を記憶に焼き付けて、アカルンの消えた赤い空に誓う。 幸せの妖精に選ばれた者として、恥ずかしくない生き方をしようと。 そのためには―― “幸せを運ぶ四つ葉のクローバーはね、心から幸せを望んでいる人じゃないと見つけられないんだよ” あの時、イースがつかめなかった幸せの素。キュアパッションが受け取るのを拒んだ四つ葉のクローバー。 もう一度探して――そして、自分の手で摘み取ってみよう。 そこから始めようと思った。 夕焼けの薄暗い森の中、せつなは目を凝らして四つ葉のクローバーを探し始めた。 陽が沈み、森は深い闇に包まれる。あれからずいぶん時間が経っていた。 木々の間から覗く星の光だけを頼りに、せつなは四つ葉のクローバーを探し続ける。 (必ず見つける。そして――帰るんだ!) どうしても、今、ここで見つけたかった。 ここはイースの最期の場所。そして、東せつなの生まれた場所なのだから。 “そんなお前が……お前が――! うらやましいと思った!” やっと、見つけたから……。自分だけの夢――自分の幸せのために見る夢を。 せつなじゃない、イースが見ていたんだ。その人生の最期に、届かぬ夢として、それでも叶えたい願いとして。 (どうして、もっと早く気が付かなかったんだろう) さっき、アカルンが見せてくれた過去。あれと同じことを、アカルンは前にもやってくれていたのだ。 それは、キュアパッションに生まれ変わる時。東せつなの心の中で。 公園でダンスに励むラブたちを、寂しそうに見つめる自分。ダンス大会の夢に挑むラブたちを、辛そうに見ている自分。 本当の自分の願い――本当の自分の夢を。 決して見えないはずの自分の姿を、アカルンは見せてくれていたのに。 “なりたい自分を思い描いて、その目標を実現させる”それが夢なのだとしたら、自分がなりたいものなんて決まってる! (ラブがミユキさんに憧れたように、私はラブになりたい。ラブの輪の中に入って、その幸せを一緒に広げていきたい!) それこそが自分の夢。イースが、その恵まれない人生の最期に見た、本当の自分の夢だった。 「やっと、見つけた。あなたの夢は私が叶えてみせるから。お帰りなさい――イース」 せつなは大切そうに四つ葉のクローバーを摘み取る。今度こそ、自分の幸せのために。 そして、背後から近寄る気配に振り返る。この良すぎるタイミングも、運命なのかもしれなかった。 「せつな、探したよ」 「ラブ、私――自分の夢が見つかったの」 せつなは手にした四つ葉のクローバーをラブに見せる。これは、“心から幸せを望んでいる人じゃないと見つけられない”もの。 だから、イースには見つけられたもの。そして今、イースから受け継いだもの。 「“幸せ”に、みんなの幸せと自分の幸せがあるように、“夢”にも、みんなのための夢と自分のための夢があるのね」 「うん、そうだね」 「私もラブのようになりたい。二兎を追って、両方ゲットしたい。ううん――必ずしてみせるわ!」 それは一年前、ラブがせつなに誓った決意。せつなが自分の言葉に置き換えて、言い直したものだった。 「ねえ、せつな。せつなの幸せは何? せつなの夢を聞かせて」 「私はラブのようになりたい。ラブのように笑って、同じ夢を叶えたい」 「あたしの夢? ダンサーの夢のこと?」 「ええ、私はプロのダンサーになる。ダンスで、みんなを笑顔と幸せでいっぱいにしてみせる」 「ダンスで、ラビリンスを幸せにするの?」 「世界中のみんなを、よ!」 「そっか。なら、せつなの夢はあたしの夢と一緒だね!」 「そうよ、私はラブのようになりたいんだから」 “いつか世界中のみんなの心を、愛情いっぱいにしてあげられる人になりたい” それが、ラブの名前の由来。そして、ラブがおじいちゃんの写真の前で語った夢だった。 「もう一度作ろうよ! あたしたち二人で、ダンスユニット“クローバー”を」 「ええ!」 「待ちなさい! 二人じゃユニットにはならないでしょ」 「わたしたち四人でクローバーじゃなかったの? ラブちゃん、せつなちゃん」 「美希たん! ブッキー!」 美希と祈里が木陰から姿を現し、そのまま会話に加わる。 ラブより少しだけ遅れてここに来ていたのだが、お話し中だったので様子を見守ることにしたのだ。 「ダメよ! 美希にはモデルの夢があるじゃない。やっと叶ったんでしょ」 「まあ、ここまで来たんだもの。モデルに専念するのが最善の道なんでしょうね」 「だったら!」 「でも、アタシは完璧なの。bestではなくperfect。それは、何もあきらめないということよ!」 「わたしもあきらめない。自分の夢も、みんなと一緒に見る夢も」 「ブッキー!」 「美希ちゃんと話したことがあるの。せつなちゃんが本当にやりたいことを見つけて、それがダンスだったならって」 「そんな……どうして? ブッキーだって、獣医の夢があるじゃない!」 「うん、ダンス大会の前から迷ってた。わたしの夢は獣医だから、プロになりたいわけじゃなかったし」 「浮かない顔してたことあったよね、あたしも気になってたんだ……」 「わたしね、引っ込み思案を治したくてダンスを始めたつもりだった。だけど、本当はそうじゃなかったの」 ラブにダンスに誘われた時、祈里はみんなの前で踊るなんて自分にはできないと断った。 それなのに、毎日のようにラブと美希のダンスの練習を盗み見ていた。 胸が締め付けられるような憧れと、羨望と、そして悔しさ。それもまた、自分の夢だったんじゃないのかって。 「逆だったの。ダンスがしたいのに言い出せなかった性格を治したかった。わたしも、ダンスが好きなんだって!」 「本当にいいの? ブッキー」 「うん。歌って踊れる獣医さん、全然ありだって言ったのラブちゃんだよね?」 ラブ、美希、祈里、せつな。四人の視線が交わる先に、それぞれの腕を真っ直ぐに突き出して掌を重ねる。 「ダンスユニット“クローバー”再結成だね。みんなの幸せも、あたしたちの幸せも、まとめて両方ゲットだよ!」 「当然でしょ! アタシたちは完璧だもの」 「きっと叶うって、わたし信じてる」 「私、精一杯がんばるわ!」 今度こそ、せつなは心に誓う。この手のクローバーが、自分の幸せを運んでくれるように、 ダンスユニット“クローバー”を、みんなの幸せの素にしようって。 「さっ、そろそろ帰りましょう。いくらアタシのママが奔放でも、この時間じゃね」 「わたしも連絡はしてあるけど、さすがに心配してると思う」 「そうだね。帰ろう、せつな。あたしたちの家に」 「そうね、私たちを心配してくれる人のところへ」 帰り際に、せつなは今日あったことをラブと美希と祈里に話した。 「アタシたち、アカルンに先を越されちゃったわけね」 「どういうこと?」 「ううん、なんでもないの」 「でもいいな~、あたしもピルンやシフォンやタルトに会いたいよ」 「アカルンちゃんは瞬間移動があるもの」 「もともと、自由気ままな子だったしね……」 昨年の夏のあの日のこと。アカルンと再会したってこと。懐かしい思い出に、会話を弾ませながら。 ラブとせつなが家に帰り着いたのは、日付も変わろうとする時刻だった。 あゆみと圭太郎が心配して玄関に飛び出してくる。 安堵と喜びの表情を浮かべたあゆみが、やがてうつむいて震えだす。その手はギュっと握られていて―― 直感で危険を察して、一歩下がるラブ。せつなはキョトンとその様子を眺める。 「せっちゃん、こんなに遅くまで、一言も無しにどこに行ってたの?」 「ただいま、おかあさん。あのね……」 「勝手にいなくなって、遅くなってごめんなさい」 玄関で頭を下げるせつなに、険しい表情のあゆみがツカツカと歩み寄る。 そして、大きく手を振り上げた。 パァァ――ン 少し離れて様子を見守っていた圭太郎がびっくりするほどの、大きな音が深夜の桃園家に響き渡る。 “平手打ち”ラブですら、ここまで強く打たれたことはないかもしれない。そのくらいに強烈な愛の鞭だった。 「せっちゃん、覚えておきなさい。親に心配かける子は、こうやって叱られるのよ」 頬に走る衝撃よりも、混乱の方がずっと大きかった。一体何が起きたのか、しばらく理解できなかった。 ようやく事態が飲み込めて、せつなは恐る恐る口を開く。 「おかあさん……。一つ教えて」 「なあに?」 「ラブは、心配してもらえるのは幸せだって言ってた。でも、心配するのは幸せなことなの?」 「心配するのは幸せじゃないけど、心配な人がいるのは幸せなことでしょ。だから、ほどほどにしなさいね」 「はい……。ごめんなさい――おかあさん!」 せつなはあゆみの胸に自分から飛び込んだ。そして、身体を震わせて泣いた。 ごめんなさいと、ありがとうを繰り返しながら。 まるで――小さな子供のように。 それは、今まで厳しく律していたせつなの心の開放だった。 ラブの幸せを分けてもらっていたんじゃない。ラブに憧れたせつなが手に入れた、本当の自分の幸せなんだって。 頬の痛みが、髪を優しく撫でる手の動きが、確かにそう教えてくれていた。 せつなは部屋に戻って異空間通信機を起動させた。ウエスターとサウラーに今日の出来事を話し、やっぱり戻れないと伝える。 この世界で、叶えたい夢を見つけたから。 いつか、自分自身とラビリンスを含めて、 世界中のみんなを、笑顔と幸せでいっぱいにしたいから――
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/939.html
ねぎぼうの140文字SS【6】 1.ラブせつで『痛いの痛いのとんでいけ』/ねぎぼう 元気さを装うラブだったが古傷の痛みでステップもままならない。 駆けつけたせつなも見ているのが辛くなる。 ミユキと競演できる最後の舞台を目前にせつなにだけ見せた心。 「あたし、怖い」 せつなはラブの手を取る。 「痛いの痛いのとんでいけ」 祈るその肩をそっと抱き寄せる。 「ありがとう、せつな」 2.ラブせつで『何を今更、』/ねぎぼう 「せつな……怒ってる?」 本当に怒っているわ。 「本っ当にごめんなさい!」 何を今更、謝っても無駄よ。もう口をきいてあげないから。 “ちゅ” 「せつながこうして食べさせてくれたらニンジンも好きになるかも?」 「……夕ごはんにね」 「わーい!」 これじゃ怒っていられないじゃない? ずるいわ、ラブ。 3.ラブせつで『No thank you』/ねぎぼう "No thank you. We should battle by ourselves." "I got it. Good luck!" ―― 「せつな、カオルちゃんと何か話してた?」 (ごめんなさい、ラブ。貴女が大好きなこの街の人たちをこれ以上私達の戦いに、罪に、巻き込みたくないの) 4.ラブせつで【 きっとだいじょうぶ 】/ねぎぼう ラビリンスに行くことを決めた後も時々不安そうな顔をするせつな。 でもね、そんな顔をしてちゃいけないんだよ。 「きっとだいじょうぶだよ、せつなならラビリンスを笑顔でいっぱいにできるから」 そう、まずはせつなが笑顔にならなきゃ! せつなにはいつも笑っていてほしい。 あたしも……笑顔でいるから。 5.ラブせつで『1+1=1』/ねぎぼう 『1+1=1』 せつなはさっきからこの数式を前に頭を抱えている。 すると、ラブがその数式の頭に『1+1+』と書き加えた。 「あたし達って四人で一人前、だよね」 「もっと強くならないとダメなのね」 「ううん、誰がいなくなってもダメってこと」 この式に込められた思いに気付くせつなであった。 6.ラブせつで『貴方の心臓が欲しい』/ねぎぼう “貴方の心臓が欲しい”夜のテレビ映画。 余命少ない魔王がヒロインに迫る。 「心臓を渡せといわれたらそうするつもりだったの、あの頃は。 でも、寿命が終わると知ったときは……」 同じ毛布の中で震えるせつなをラブが強く抱きしめる。 「せつなの心臓、ドキドキしてる。今、こうしているからだよね」 7.ラブせつで『幸せになってよ』/ねぎぼう 「やっぱり勝手にお店は閉められません!」 「そうだね……アジの干物の煮込みとお銚子一本」 ―― 「その子は遠い国に行っちゃったんだ」 「せっかく家族になったのにですか?」 「夢を見つけたからね。幸せになってよかった……」 「うわー、きれいですね」 「笑顔で一杯でしょ。ごめん、画面濡らして」 8.ラブせつで【 アメとムチ 】(組曲チャージ!)/ねぎぼう 「最近ラブがちょっと甘えすぎなの」 「しつけにはアメとムチが効果的だと音吉さんの本にも載ってたわ」 「ありがとう、精一杯頑張るわ!」 ――アメはこの間ゆうこがハニーキャンディーの作り方を教えてくれたわね。あとムチは……あっ!―― 「ラブ、ちょっといい加減にして!スイッチ・オーバー!」 9.ラブせつで『そのセリフ、そっくりそのまま返す』(withハミエレ)/ねぎぼう 「せつな、ラブ、おはよう!」 「あけましておめでとう」 「え?」 「あけましておめでとうニャ」 「今年もよろしくね」 「こちらこそ今年もよろしくニャ」 「そのセリフ、そっくりそのまま返すのね?」 「そうニャ」 「何か違うわ」 「そうそう、これが日本の文化だよ!」 「ラブまで……やはりそうなの?」 10.せつエレで【吐息まじりに / ベランダで】/ねぎぼう ベランダで夜風を求めてたたずむエレンが吐息まじりに吐露する。 「私は自分の弱さゆえにハミイや響達を苦しめることを選んできたの。 そう生きていくしかなかったせつなとは違うわ」 「私は……取り返しのつかない破壊を繰り返してきたわ。 本当はやり直すでは済まない。それでも……やり直すしかないの」
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/951.html
ねぎぼうの140文字SS【18】 1.ラブせつで『ひねくれた告白』/ねぎぼう 『ラビリンスをこの街のように笑顔でいっぱいにしたい』 そう言ったせつなの目は、ラビリンスの人たちの笑顔をこれからも見たいという夢への決意の証。 あたし、本当に嬉しかったんだ。 でも、もう一人のあたしが「それでいいの?」って。 「本当に行っちゃうの?」 あたしにしてはひねくれた告白なのかな? 2.ラブせつで【あやまち / 声をあげたいのにかなわない】/ねぎぼう 「ノーザ!」 「イース、私はお前の犯したあやまちに罰を与えてあげる。 でも、お前がどんな痛みにも耐えられることは知っているわ」 縛めの蔓がせつなの体を覆い尽くす。 「私はこんなことに……うぐぅ」 声をあげたいのにかなわない。 自分が自分でなくなっていく恐怖。 (ラブ!) 思わず心で助けを求めた。 3.ラブせつで【 困ってる顔がすき 】/ねぎぼう 「もうすこしこのうちにいたいでしょ?」 ってきいたときのせつなのね、困ってる顔がすき……きすしちゃおうかな? ちゅ。 でもね、わかっているんだ。 向こうにはせつなの大切な人たちが待っているから。 だから笑ってばいばい、またねって。 あたしが泣いてるときのせつなの困ってる顔はみたくない。 4.ラブせつで『どんな言葉よりも』/ねぎぼう あたしはもう逃げない。 目を背けない。 だから、今ここにいるんだ。 説得なんてのは、やっぱりあたしじゃ出来そうにない。 だから、こうするしかないんだね。 手加減なんて……出来ないくらいイースは強いけど。 今はどんな言葉よりもせつなの気持ちが伝わってくるから! 「ラブちゃんが、泣いてる……」 5.ラブせつで【 今日が終わる前に 】/ねぎぼう 今日が終わる前にどうしても伝えたい。 できれば声でね。 ああ、異世界通信って何でこんなに安定しないの、というかまだ仕事しているのかな? もう、こんな日にまでせつな頑張りすぎだよ……なんて思ってたら繋がったみたい。 「ラブ、どしたの?」 忘れちゃったのかな? 「せつな、誕生日おめでとう!」 6.ラブせつで『しゃらっぷ、きすみー!』/ねぎぼう 些細なことでラブと言い争いになる。 「もうラブはいつもいつもそうだわ!」 「せつなだって!」 「でも私は……」 「そんなの……」 ……そしたら突然壁ドンして 「しゃらっぷ、きすみー!」 どこでそんな言葉覚えて来たのかしら? ってラブ、タコみたいな口をしているのはどして? タコが怖いのは美希よ? 7.ラブせつで『傘の下で』/ねぎぼう ひとり傘の下で待つ。 雪が降ってきたのに傘も持たずに出るなんて、風邪をひいてしまうじゃない? 「せつな、傘持ってきてくれたんだ?」 「今度はちゃんと自分で持って行くこと」 「たはは、ごめん」 「いけない、これお父さんの傘」 「じゃあ、お父さんも待ってよっか?」 「ええ」 同じ傘の下で待つふたり。 8.ラブせつで【 はじまりのキス 】/ねぎぼう 1日のはじまりのキスはね、とっても大事なんだよ。 だから、せつなが一心不乱のガチ磨きをしたあとは心をこめてするの。 よく頑張ったねって。 そのためにはあたしも寝坊は出来ないし。 まあ、たま~に寝坊した時はその分おやすみのキスを…… でもこれはせつなとのひ・み・つ 「ピーチはん、バレとる」 9.ラブせつ=『古傷』+「痛くない。大丈夫」 /ねぎぼう ラブはせつなが少し足をかばっているように見えた。 「せつな。膝痛めたんじゃないの?無理しちゃダメだよ?」 「心配させてごめん、ラブ。今はもう痛くないわ。大丈夫よ」 精一杯笑ってみせる。 パラレルワールドで戦っていた頃に痛めた膝がここにきて悲鳴を上げている。 お願いどうかもう少しだけもって! 10.ラブ&せつな「たまには、いいよね?」 /ねぎぼう 最近、ラブの視線が私の胸にあるような気がする。 「せつな!」 「どしたの、ラブ?」 「……な、何でもないよ」 ―― 「せつなは……もうイースには……戻れない、の?」 「何言っているの?」 「たまにはイースになってみて欲しいな~?って」 「もう、ラブったら……スイッチ・オーバー」 ぎゅっ 「きゃっ」
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/1141.html
東せつな・カレンダーツイート2015 8月 【8月1日(土)】今日は『水の日』。水の貴重さと重要性について国民の関心を高め、理解を深めるための記念日よ。蛇口を捻るだけで出てくる水だけど、飲料として使えるようにするには大変な努力が必要なの。感謝して、大切に使わなければならないわね。なんて、ジュースの海を作った私が言えることじゃないけれど……。 【8月2日(日)】今日は『カレーうどんの日』よ。家の夕ご飯じゃなくて、そういう記念日なの。そういえば前に、「あたし辛いからカレーっていうんだと思ってたんだ」ってラブが言ってたの。そうしたらお父さんが、「僕も甘いから飴(あめぇ)というんだと思っていたよ」ですって。ラブの冗談のセンスは父親譲りなのね。 【8月3日(月)】今日は『ハチミツの日』。お砂糖よりも栄養が豊富で、しかも太りにくいんですって。角砂糖ばかり使ってるサウラーにも教えてあげたんだけど……。「本で読んだことがある。蜜蜂1匹が一生かけて集める蜜の量は、わずかティースプーン1杯分らしいね」なんか食べるのが申し訳なくなっちゃったじゃない。 【8月4日(火)】今日は『箸の日』。お箸は指で操るのに、指よりも繊細な動きができる不思議な道具よ。ラビリンスではフォークやナイフを使っていたけど、柔らかくて崩れやすい料理を扱うには不向きなの。コロッケなんかがそうね。お箸は料理の状態まで伝えてくれるから、調理で火の通り方なんかを知るのにも便利なの。 【8月5日(水)】今日は『ハンコの日』。捺したものは印鑑というの。「ピンクのハートは愛ある印」じゃないけど、印鑑は自分の印。文章に同意した証明よ。リンクルンと同じくらい責任を持って扱わないと。だけどハンコってどうして苗字なのかしら? 桃園とか蒼乃とか山吹とか、家族の連帯感のようで少しうらやましい。 【8月6日(木)】お母さんから渡されたおつかいメモに、ピーマン1袋と書いてあったの。旬の野菜だし、身体に良いのもわかるけど、どんな料理になるのか不安よ。美希から聞いた話によると、ピーマンは元々フランス語でトウガラシって意味らしいの。辛味の無い品種が日本で広まったのね。苦味も無ければもっといいのに。 【8月7日(金)】今日は『花の日』よ。お母さんから「二人で好きな花を買ってきなさい」って言われたの。私はヒマワリにするつもり。なんとなくラブのイメージだから。美希のイメージはチューリップ。ただ一輪を大変な努力で咲かせる花よ。ブッキーは可憐に咲くコスモスかしら。私はバラね。だってトゲがあるんだもの。 【8月8日(土)】今日は8月8日。八と書くと末広がりになるから幸せを呼ぶ数字とされてるの。数が多いって意味もあるわ。横にしたら無限大(インフィニティ)。メビウスの輪も8に似てるわね。幸せは多いほどいいし、終わらないことを願うわ。けどそれは、今日という1の積み重ねであることも忘れないようにしたいの。 【8月9日(日)】「悪いの悪いの飛んでいけ」ピーチたちの決め技のかけ声よ。敵の存在を否定して、倒すための意思表示だと、かつての私は思っていたの。でも違うのかもしれない。だって、元は傷付いた子供の痛みを取るためのおまじないだと聞いたから。悪い心だけ飛んでいけばいいって、優しい応援のメッセージなのね。 【8月10日(月)】今日は『帽子の日』。以前、私はラブの気を引こうとして帽子を飛ばしたことがあったの。ラビリンスには帽子なんて無かったし、ただのオシャレアイテムだと思ってた。でも帽子は日焼けや熱中症を防いだり、落下物から頭部を守る役目もあるのね。「カツラと一緒だな」って? クスッ、そうね、お父さん。 【8月11日(火)】今日は『山の日』。「海の日があるなら山の日も」という発想で制定された祝日なの。日本は四方を海に囲まれた島国だけど、国土の75%が山岳地帯でもあるそうよ。人が暮らせる土地はわずかしかないってことになるわ。それなのに「山と海に感謝する日」を作って祝おうだなんて、そんな考え方は素敵ね。 【8月12日(水)】カオルちゃんのドーナツカフェで、かき氷が飛ぶように売れていたわ。アイスクリームは年中食べるのに、かき氷は夏場にしか食べたくならないから不思議ね。「ぐぉぉ……美味いけど頭がキーンとなるんだよな」って、がっつくからよ。こうやって少しづつ口に運べば、イタタ、やっぱり時々なるみたい……。 【8月13日(木)】今日は迎え盆。午前中にお仏壇をお掃除して精霊棚を作るのよ。キュウリの馬にナスの牛って、不思議な習慣ね。夕方には墓参りをして、その後は盆迎え火を焚くそうよ。ただしきたりに倣うだけじゃなくて、おじいさまやおばあさまがどんな方だったのか。思い出なんかを、この機会に聞いてみようと思うの。 【8月14日(金)】今日はお盆の中日。私はおじいさまにもおばあさまにもお会いしたことがないから、どうしたらいいのかわからないの。お墓参りに来たけど、何て語りかけたらいいのかしら。祈るんじゃなくて、ご先祖様との繋がりを思い巡らせればいいそうだけど、それすらも私には難しい。だからたった一言、ありがとう。 【8月15日(土)】はじめは不思議な習慣だと思った精霊棚も、今は身近なものに感じるの。ラブの笑顔と同じだと思えて。キュウリの馬は、早くご先祖様を迎えられますように。ナスの牛は逆にゆっくりと帰れますように。「あなたに逢えて嬉しい」って気持ちを、表情で伝えるのが笑顔で、お供え物で伝えるのが精霊棚なのね。 【8月16日(日)】お盆休みの起源は『閻魔の賽日』だと言われてるの。「地獄の釜の蓋が開いて閻魔大王も鬼も亡者も休む日」だそうよ。奉公人の帰省である『薮入り』だって説もあるわ。こんな日でもない限り源吉おじいさまは仕事を休まない人だったそうなの。夕方に盆送り火を焚くのよ。また一年後の再会の願いを込めて。 【8月17日(月)】今日は『パイナップルの日』。正しくはパインアップル。松のような姿のリンゴって意味なの。その昔、大き目の果物は全てアップルで、小さめの果物はベリーと呼んでいたそうよ。アダムとイブが食べた禁断のリンゴも、イチジクだったと言われてるの。ブルーベリーって名前もその名残りかもしれないわね。 【8月18日(火)】今日は『太閤忌』。豊臣秀吉の忌日よ。享年61歳で、「露と落ち露と消えにし我が身かな浪速のことは夢のまた夢」という辞世の句を残しているの。「栄華を極めた人生は夢のように儚いものであった」句の意味よりも、胸の内を私は知りたい。誰よりも大きな夢を叶えた人。その最期は幸せだったのかしら。 【8月19日(水)】今日は『俳句の日』。俳句は最も短い定型詩なの。季語を入れること。空想を詠まないこと。感動を露にしないこと。5・7・5のリズムだけじゃないのね。「親友と 並びて仰ぐ 星月夜」こんな感じでいいのかしら? 今夜は風があって涼しい。天の川は8月の方が綺麗に見えるのね。聞いてるの? ラブ。 【8月20日(木)】今日は甲子園の決勝戦。数あるスポーツの中でどうして野球は特別な人気があるのかしら? 大輔君に聞いてみたんだけど、目に触れる機会が多いからだそうよ。ラブがミユキさんに憧れたのと同じ。夢は抱くものだけど、見せるものでもあるから。野球もダンスも魅力あるけど、やっぱり人は人に憧れるのね。 【8月21日(金)】今日は『パーフェクトの日』。美希の日ねって言ったら苦笑してたわ。「アタシはまだまだ完璧じゃない。せつなこそ完璧なんじゃない?」って。私も完璧じゃない。精一杯頑張るって、余裕が無いってことでもあるから。ラブなら完璧なんて求めないし失敗も恐れない。何度でもやり直せるって信じてるから。 【8月22日(土)】昨夜は涼しくて風鈴の音色が寂しげに聞こえたの。美希が教えてくれたアロマのレモングラス。清涼感のある香り。ブッキーがくれた金魚鉢。水の冷たさが伝わってくるわ。ラブのお勧めはラムネ。瓶の中のビー玉が氷に見えるのね。肌じゃなくて、目や鼻や耳で感じる涼しさも心地よかった。夏もあと少しね。 【8月23日(日)】今日は二十四節気の『処暑』。暑さも峠を越して、朝夕には涼風が吹き始める頃。秋の準備を始める目安でもあるんだけど、暑さが残る頃って意味もあるの。夏の疲れが溜まる時期でもあるし、台風のシーズンでもあるから気をつけて。「もうじき地蔵盆だね。縁日が楽しみだよ」って、ラブはいつでも元気ね。 【8月24日(月)】昨夜は私の部屋でパジャマパーティーをしたの。暑くて寝苦しいから、みんなで怪談をすることに。でも、どうしてそれが涼むことになるのかしら? 美希は髪の伸びる人形の話。ブッキーは空の檻から聞こえる鳴き声。ラブは食べてないのに無くなるドーナツ……って、それは単につまみ食いされただけじゃ? 【8月25日(火)】「流しそうめんって普通のそうめんでしょ。どうして流すのかしら?」そんな私の一言がキッカケで、お父さんが流しそうめん台を作ってくれることに。竹を切ってノミで削って、やっぱり大変な作業なのね。そこまでしても食べやすくなるわけじゃないし、味も変わらない。そう思ってたんだけど、楽しいわ! 【8月26日(水)】ブッキーとお散歩してたら、ツクツクボウシの鳴き声が聴こえてきたの。蝉によって鳴き声が違うのは同種の雌を呼ぶためだそうよ。でも真夏の蝉の鳴き声は力強いのに、秋が近付くと寂しげな声に変わるのはなぜかしら? ヒグラシの鳴き声も聴こえてきた。蝉も夏の終わりを惜しんでるのかもしれないわね。 【8月27日(木)】美希の家でスムージーをいただいたの。ヒンヤリと冷たくて美味しかった。その話をしたらラブが得意げな顔で、桃園家の秘伝のレシピを教えてくれたの。「バナナとミルクとココアをミキサーして、生クリームと一緒に温めるんだよ」って。作り方は似てるけどそれはもう別の飲み物よ。でも本当に美味しい。 【8月28日(金)】夏休みも残りわずか。ラブが宿題の読書感想文で悩んでたの。「なんて書いたらいいかわからなくて。筋書きだけじゃ感想にならないし……」だったら、私にその本の楽しさを教えるつもりで書いてみて。ってアドバイスしたら、急にスラスラ書けるようになったの。感想って、誰かに伝えたい幸せのことよね。 【8月29日(土)】夏祭りの夜店でラブと一緒にりんご飴を食べたのよ。美味しかった……はずなんだけど、外側が固くて甘くて、後はよく覚えてないの。「美味しい」って、味が好みって意味だけじゃない。楽しいとか嬉しいとか綺麗だとか、色々な喜びが交じり合ってるのね。これって全ての幸せに言えることじゃないかしら? 【8月30日(日)】今日は『ハッピーサンシャインデー』。「太陽のような明るい笑顔で過ごしましょう」って日なんだけど、まるでラブのことね。幸せって昔は「し合わせ」と書いたそうよ。元々は幸福ではなくて「何かと何かの巡り合わせ」って意味だったの。私も同じ。ラブと巡り逢って、し合わせを幸せに変えられたのね。 【8月31日(月)】今日は『野菜の日』。私がピーマンを苦手になったのは、この世界に来てからなの。ラビリンスに居た頃は食べ物の味に関心なんてなかった。「美味しい」って口に出せるようになった時に、苦手な味も生まれたのね。“選り好み”というささやかな自由を得たことを、この小さな野菜は私に教えてくれたのよ。